第10章 我慢
稲「佐々木さん」
『はい』
わたしは司令の車いすを押して2人の前へ。
一人は納得した表情をした。
たぶんこの人は知っているのだろう。
もう一人はわたしと同じくらいの年代の人で、司令を見て驚いた表情を見せた。
司令はその男に向かってにっこり笑う。
稲「昔、足を片方失くしまして。歩くのが多少困難なものですからご勘弁願います」
男たちは会釈をし、上司の男が口を開いた。
上司「ご存知かと思いますが、例の連続通り魔殺人事件の捜査本部の者です。単刀直入に申し上げます。容疑者の少年の都下における貸出記録を提供して頂きたい」
司令は何も言わないし反応もしない。
説得するかのように説明をし始める。