第9章 声
どういう意味で聞いてるのかよくわからなくてとりあえず思ったことを伝える。
「そんなこと当事者同士が決めるもんだろう」
それを聞いた香は内側の手すりに肘を掛けて頬杖をついた。
『ふぅん・・・』
「お前はどう思うんだ?」
『え?・・・郁と光かぁ』
考え込み、チラッと俺を見る。
こっちを見た理由は何となくだが予想がついた。
だからか、少し…
「手塚のことは名前で呼ぶんだな」
『へ?』
ポンと頭を叩き、
「いや、なんでもない。業務に戻るぞ」
踵を返すと丁度向かいから小牧が来た。
小「あ。いたいた。佐々木さん!司令が用事あるそうだから、司令室に・・って佐々木さん?顔赤くない?」
小牧が香の顔を覗き込む。
『え。いや、何でもないです!』
「佐々木、こっちはいいから行ってこい」
『はっはい!』
頬に手をやって駆け足で香は走って行った。