第7章 グレー
玄「あー…それにあの館長代理は素性がちょっと面倒でな」
玄田隊長の発言に誰も疑問をださなかった…けど、郁はちらりと周囲をうかがう。
それに気づいた堂上教官がため息をついて口を開いた。
篤「図書隊制度反対派の都議の人脈だ。証拠もないのにうっかり問題にしたら、図書隊の偏向を逆に攻撃されるだろうな。佐々木や柴崎が業務部で問題にしなかったのは正しい」
玄「この案件は俺が預かったうえで司令に報告する。柴崎と佐々木、お前ら2人は回収した所在不明図書を所定の場所に戻しておけ。後日、堂上班が発見して戻した態で業務部に通達する。その時に牽制くらいはできるように計らう」
言いつつ玄田隊長が腰を上げた。
玄「なお、この案件はこの場の7名以外への他言を禁ずる。以上解散!」
わたしと麻子は顔を見合わせて頷いた。