第2章 そういうところが好きじゃないんだ
「わっ!?」
伊豆くんの下着はピッチリとしたボクサーパンツだった。自分の父親がトランクスを穿いているので、てっきりそんなものだと思っていた私は驚いてしまった。スポーツをする人だとこういうパンツの方がいいのだろうか。伊豆くんの鍛えた体にぴたりと張り付く布地。勃ち上がるモノが窮屈そうにその存在を主張していた。
恥ずかしくなって、私は俯いてしまった。
「あ…嫌なら無理しなくていいぞ。パンツは自分で脱ぐから」
ためらう私の様子を見て伊豆くんが言った。そして彼は、粘液の着いてない方の手で自らのパンツを下げようとしたが、ただでさえキツめのボクサーで、己のモノまで邪魔をして、大分脱ぎにくそうではあった。グイと無理やり引っ張ると、どぅるん、と伊豆くんの…が顔を出した。
私は顔を手で覆った。
「桃浜…。見てくれ。頼む」
何とかパンツを下げ終えたらしい伊豆くんが言った。ハァハァと荒い息遣いが聞こえる。わたしは恐る恐る目を向けた。
「桃浜…」
想像していたよりグロテスクな物体がそこにはあった。赤く、大きく、何かの冗談みたいな光景だ。
伊豆くんはさっきまで私の秘所をまさぐっていたその手で、己をしごき始めた。
「ハァっ…ハァ、桃浜…」
私は口を手で抑えながら、それでも約束だから、頑張って彼の姿を見続けた。いつの間にか窓から月明かりが差し込んで、彼を鈍く照らす。
「何度も…何度も、お前のことを考えながら、こうやってきた。桃浜…。桃浜…」
熱い声、せつなげな瞳、私のことを求めながら自慰をする伊豆くんの姿に、私の下腹部が、また、熱くなった。
「っ…出る、桃浜、ティッシュ…!」
私はハッとして机の上のティッシュ箱を取ると、彼に手渡した。
「あっ………あぁ…!く…!」
彼は急いでティッシュを数枚抜き取ると、己の先にあてがい、背を少し丸めて、苦しそうに吐精した。
「…ハァ…」
そしてもう何枚かティッシュを取り、丁寧に拭き取ると、服を着直した。私はその一連の様を、ジッと見ていた。