第2章 そういうところが好きじゃないんだ
私は体を数度震わせると、ぐったりと脱力した。伊豆くんは私のパンツから手を抜き出した。手にはぐっちょりと粘液がまとわりついている。彼はその手をまじまじと見ながら、ホゥッ…とため息をついた。
「イッたんだ、桃浜…」
私はその声には答えなかった。
伊豆くんは私の背から離れると、正面に回り込み膝立ちになった。彼のズボンの股間が膨らんでいる。
「っ…」
私は思わず目を逸らした。
「桃浜、その…挿れるのは、やっぱ…」
「むっ、ムリムリ絶対ダメ!」
「そうだよな、ゴムもないしな」
あったってダメだこのバカたれ。
「じゃあ…、口で、してくれたりとか」
「それも、ムリ!」
「なら、手で…」
「イヤ!」
伊豆くんはわかりやすくションボリとした。
「それじゃあ、オレ…自分で抜くから、み、見ててくれるか…?」
正直見るのだって嫌だったが、私ひとりだけ気持ちよくなって終わり…というのも彼がかわいそうな気がして、仕方なく私は首を縦に振った。伊豆くんは、パァッと輝かせた。
「よかった…桃浜は優しいな!」
優しい、だろうか…。天然ボケというか単純というか、もしかして伊豆くんって、騙されやすい人か?
「あっ、悪いんだが、ズボン脱がせてくれないか?オレの手、桃浜ので濡れてるから」
「やだもう、い、言わないでよ!拭けばいいじゃない、ティッシュならそこに…」
「いや、拭きたくないんだ。桃浜のがついたままシたくて」
馬鹿じゃなかろうか。そうは思ったけど、彼が私を求めて必死になっているその姿を見て、私の下半身がキュンと締まったのも、悔しいけど事実だった。
「仕方ない、なあ」
私はブラのホックを止めて軽く自分の服を整えると、伊豆くんの側によって、彼のベルトに手をかけた。私は今、男の人のズボンを脱がせているんだ…。そう思うと心臓がドクドクと鳴ってうるさくて、自分の興奮が伊豆くんに伝わりませんように、と私は願った。彼のベルトを解くと、私は息をついて、ずるりとズボンを下げた。