第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「ユーリ!!」
ローは血まみれで落ちてくるユーリを抱きかかえると、そのまま地面に着地した。
流れ落ちる血がローの服を染めていく。
ローは地面に膝をつくとユーリの顔に手を添えて、ローの方へゆっくり向けさせた。
血の気の失った唇からは、赤い血が大量に流れている。
肩から胸へ切り刻むように突き刺された刀は、彼女の手からゆっくりと落ちていった。
カランッ
鳴り響く金属音に驚いた海兵達は、銃を構えた。
「…ユーリッ」
ローは何度も彼女を呼び続けた。
その声に、彼女は虚ろな瞳でローを見上げた。
彼女の瞳はローを映していなかったが、そっと笑みを浮かべた。
その瞬間、数年前の光景が、フラッシュバックした。
「っ…が、…ぁ…な…んで…」
ローは全身の震えが止まらなかった。
呼吸の仕方も忘れたのか、苦しそうに吐き出すばかりだ。
汗か、涙か分からないものが頬をつたっていく。
動悸がどんどん激しくなっていく。
頭痛が、吐き気が、痛みが、彼を襲った。
そしてそんな二人の様子を伺っていた海兵たちは、引き金を引こうとした。