第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
フレバンスと政府の会談は、破談となった。
その事実は、フレバンスを再び戦火に包もうとしている。
ローが意識を失い、政府との会談の約束を破ったのは、いろんな形で波紋を呼んでしまった。
政府の中でそれを良しとするもの、そう思わないもので意見が割れていた。
しかし、これはフレバンスを政府の配下に置くにはいいきっかけだと言う輩が増えてきた。
藤虎がフレバンス国王が何者かに襲われたと、それでも世界を代表する者なのかと何度も言い聞かせていたが、彼らは聞く耳を持たなかった。
国王が襲われたのは政府も重々承知だ。
だからこそこれは、いいきっかけなのだ。
表向きは国王からの破談の為。
真の狙いは、フレバンスに眠る莫大な資源。
最もな言葉を並べて、偽りの正義を掲げ、フレバンスを支配する。
これはローを悪者に仕立て上げ、国王の座を引きずり下ろすいいきっかけなのだ。
彼は今、姿を消している。
それは死んだのか、それとも誰かが匿っているのかは分からない。
だが、国王不在のフレバンスは、国民を騙すには丁度良かった。
そしてそう日が経たない内に、政府は多くの兵士を連れて動き出した。
フレバンスに攻め入ることが決まったのだ。