第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
そしてユーリはというと
(やばいどうしよう。どうやって海楼石を付ければいいんだ?まったく隙がないんだが。てか酒の一杯でも付き合いなよって誰だお前!どんなキャラ設定でいこうとしてるんだよ!)
表面上は冷静に振舞っていたが、内心はかなり動揺していた。
正直女達の相手をしていたのでまったく何も作戦を考えていなかったのだ。
作戦を考えずに実行するのは何時ものことだが、今のこの状況は中々にスリル満点だ。
一歩間違えたら色んな事件が起きてお互い無事では済まされないだろう。
「お兄さんイケメンだよね?しかも強そうだし、俺強い人好きだなー」
そう言ってユーリはローの隣に座り迫った。
(いやいやだからどんな設定で行くんだよ!ホモか!?ホモ設定か!?見るのは好きだけど当事者になりたいわけじゃないから止めろよ!)
ユーリは自分で動いているくせに軽くパニックになっていた。
海楼石をつけなければという謎の使命を果たすために躍起になってるのだ。
「はぁ?」
そしてローも軽く混乱していた。
この展開はまったく予想してなかったのだ。
もう少し若かった頃はそんな誘いもあったような気がするが、死の外科医として恐れらるようになってからはそんな命知らずはいなくなった。
もちろん誘いを受けたことはない。そいつら全員切り刻んで終わりだ。
(こいつの言葉が予想通りなら、おれは迫られてるのか?なぜだ?てか隣に来るまで気づかないってどんだけ疲れてるんだよ)
ローは油断していたわけではないが、本気でユーリ(男)が近づいて来てるのに気づかなかった。
そしてそんなローに構うことなく白髪の男はニコリと笑うと、ローの頬に手を添えて顔を近づけてきた。