第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「…………」
最後まで一気に読んだユーリは、注意事項辺りからなんだが馬鹿にされたような気分になり、しかも最後の方は投げやりだったので少しイラッとした。
(そういえばROOMの中に入ったとき、確かに気が抜けるような感覚があったような……あの時はそれどころじゃなくて気にしてなかったけど)
というかなぜオペオペの能力だけ注意事項に書いてあるんだ?
他にも相性悪いやつあるだろ。
ユーリは少し違和感を感じたが、取り合えず能力の全貌が見えたので良しとすることにした。
しかし何度も言うようだが、この紙自体を最初の段階で渡して欲しかった。後服も。
(まさか服や紙がカプセルの中だと濡れるからとか、今更そんなまともなこと言うわけないよな?色々と非常識な世界なんだからそのくらいなんとかしてくれよ)
「ROOM」
ユーリが内心色々考えてると、ロー突然能力を発動してきた。
「うわっ、ちょ、力が抜けるからやめ…」
「この紙の信憑性を確かめる」
「いや、もう十分効いてますよ。完全に無抵抗です。脱力状態です。やる気0です」
「さっさと能力を発動しろ」
ユーリの言葉を綺麗に無視して指示してくるロー。
確かにそんな俺様なところも好きだけど、能力を発動すれば痛みを伴うことを忘れてないか。
「いっそのことシャンブルズで心を入れ替えて、自分自身で確かめてくださいよ」
「今日会ったばかりの奴に、そんなことするわけねェだろ」
「…確かに」
ユーリは名案とばかりに提案したが、ローから呆れた表情で即却下された。
確かにロー本人と心を入れ替えるのはリスクが高い。
解除するかどうかはローの身体を使ってる人に委ねられるため、普通はしないだろう。
ユーリは心を入れ替えてローの身体を借りたら、しれっとルフィと仲良くなってやろうと思っていただけに非常に残念に思った。
その後能力を発動してみたが案の定なにも起きず、そのままローの気がすむまで付き合っていた。
そして漸く満足したのか解放されたので、皆んなのいる所へ戻ることになった。