第6章 STRIDE
「せんせー、俺が1位になる。」
「「「絶対やると思った!!」」」
物凄ーく態度が悪いまんま、彼はそう一言宣言した。
お、おぉ……。すっごい……。漢だ……。ただの男じゃない。漢字の漢で漢だ。ワケわかんなくなっちゃった…。とりあえず、かっこいい……。態度悪いけど。
そんな彼の漢な姿をみて、この高校に来て、彼も変わったんだとなんとなく感じた。前だったらもっと、こう、なんか許せない感じ。世の中をなめくさってる感じだった、はず。やっぱり、彼も変わっていく。成長していくんだ。態度悪いけど。
「おぉ……。」
パチパチ
「安藤!今拍手するとことちげぇぞ!」
「えっ、あっ、はっ!」
拍手をする場面かなと思ってしてみたら、周りはブーイングの嵐。私ひとり違う感じになった。恥ずかしい。
「せめて跳ねのいい踏み台になってくれ。」
「むっ!それはいやだー!!ぶー!」
その一言を聞いて、私もみんなのブーイングに加勢した。
……それは、いやだ。跳び箱のロイター板みたいな人生なんてごめんだし。なんか、勝己くんのあの靴で踏まれると痛そうだし。
私も、一緒に跳びたいし。