第5章 〈番外編〉わたしの背筋も凍ったぜ
そこで私は、何年かぶりに人と言い争いをした。お互いに、とんでもなくレベルの低い言い合いを。
「このタレ目!!」
「チビ!!」
「このっ…えーっと、き、金髪!!」
「眼帯!!」
「うぅ…えっと、んん…目が、青い!!」
周りの人たちは、物凄く怪訝な顔でこちらをみている。は……恥ずかしい。もう辞めたい……!でも負けたくない!!
「……アイデンティティの発表会かな…?」
と、出久くんがポツリと言ったのが聞こえた。…出久くんに見られてた!恥ずかしい!!もう嫌だ!もうやめようこれ!!
そして、両者語彙力の低下が甚だしいこの攻防は一分も経たずに終わりを迎えた。
「安藤くん!何をしているんだ!」
「物間!いい加減にしなさい!」
A組、B組の委員長がそれぞれ止めに来てくれたのだ。