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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第48章 転がる岩、君に朝が降る




「え?」


言い方を完全に間違えた。
出久くんに嫌な思いさせてたらどうしよう。なんだコイツと思われていたらどうしよう。

「あっ、えっと、間違えっ…ごめっ、その、今回の…その……サーさんの、こと、ね。私ね、寂しいなぁって思うよ。」
「あ…うん、そう…か。」

慌てて言い直すも、伝わったか分からない。
焦りすぎて、緊張しすぎて、出久くんの腕しか見れていないからだ。うわぁ、またムキムキになってる。

「だから、えっと、ね。間違えじゃない、よ。寂しいとか、悲しいとかそういうのは、間違えじゃないからね。」

これじゃ、伝わらないかも。
どうやったらちゃんと伝わるんだろう。
偉そうにならないように、鬱陶しくならないように、押し付けがましくならないように。ただ、出久くんが何をどう思っても大丈夫だと思うって、ことを。

勇気を振り絞って彼の顔を見上げる。
目が合った。

話を聞こうとしてくれている。
私が何を言おうとしているのか、拾おうとしてくれている。

私は尚更必死になる。

「“寂しい”は、全然、ダメじゃない、と思うんだ。その人のこと、大切な証拠だからさ。」
「…うん。」
「だから、えと、君が何をどう思っても、全然大丈夫って、思ってさ。」


出久くんは少しだけ眉に力を込めて、目を閉じた。
それからゆっくり目を開けて、「ありがとう」と言った。

「でもさ、決めたんだ。笑っていようって。…僕もさ、笑っていたいんだ。」

ちょっと、恥ずかしくなったのと、いたたまれなくなったので顔が熱くなるのを感じた。

勝手にまたから回ってしまった。ギュッと下を向いて自分の膝に目を落とす。どんどん顔が熱くなる。

「そう、だよね。なっ、なんか、ごめん!なんかいろいろと変なことを言ってしまい……」
「いやいや!全然!嬉しかったし、ありがとう!」
「やー、うぅ……へへ…」
「え、ひよこちゃん?大丈夫…?」

出久くんが肩にぽんと触れる。
びっくりして顔を上げると、少し心配したような、少し疲れたような顔をした彼がいた。

そんな顔、見たかったんじゃない。
伝えたかったのって、これかな。

言いたいのは。
もっと、私は。


「たっ!た、頼って、欲しいなって、思った、の。」


顔がもっと赤くなる。
ホントの気持ちを言う時は、いつもこうだ。

「本当は、それだけ。」

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