第45章 まぶしい闇
恐怖と、絶望と、不安。
心の温度がどんどん下がって、動けなくなっていく。
私に馬乗りになって、彼女は楽しそうにしている。目の前でキラキラ揺れる金色の瞳が、心の底から楽しそうに輝いている。
「すすまなきゃ、いけないのに、」
「弔くん言ってたよ。ひよこちゃんにまた会いたいなぁって。」
「なん、」
「もう1コの“個性”が見ておきたいんだって。」
「…は?」
ドロっと、心が冷たくなる。
内臓が冷えて、震えた。
「もうひと、つ?」
「もうすぐ発現するはずだって!」
「…は?」
彼女の瞳を覗きこむ。
キラキラと光っていて、それで。
私と彼女の間に、バチンと激しい閃光がとんだ。
さっき、ファットさんに感じた変な感じ。
知らない、感覚。
私は慌てて目を閉じて、咄嗟に“個性”を発現させた。
「んっ!!」
身体から血液を放出させ、固める。
身体中に傷が出来て少し痛いけれど、我慢。
血液は出来るだけ強く、硬く、鋭く。
「わぁっ!」
ヒミコちゃんは目を見開いて私から飛び退いた。
私はすっくと立ち上がり、放出させた血液は手に集めて刀に。身を低くして構え、ヒミコちゃんをじっと睨みつけた。深呼吸を、ひとつ。
「ヒヨコちゃんすごーい!使いこなしてますねー!」
「…そ、の、もうひとつって、何…ですか?」
「えー、分かんないけどねー、なんかもうすぐだーって、弔くんが言ってたの。もうすぐだから、早く返してもらわないと困るって。」
「困る…って。」
ジリジリと間合いをとって時を待つ。
心を集中させて、彼らの背中を思い出す。
そうだ、こんなことしてる場合じゃないでしょ。
彼らが、行けって、言ってたでしょ。
迷うな、今は、迷うな!
「私の居場所は、私が決める!」
迷うな!
私の居場所は、みんなの隣だ!
「私はみんなの隣に胸を張って立っていたい。そこを居場所にしたい!だから私は、絶対進まないといけない!」
不安だけど、
自信なんてないけど、
こんな私がって、いつも思うけど。
強くなりたい。守りたい。
私だって出来るって、信じたい。
何度だって転んで、何度だって立ち上がった私を、私は知ってる。だから、ちゃんと進めるんだって、思いたい!
「そっかぁ!私もお友達でいたいから頑張んないとだ!」
「負けない!」