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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第45章 まぶしい闇




なにが、何が、起きて


でも、分かる。

なにか良くないことが起きたのはわかる。


私は、


「アマネ!」
「あ、えっと、」
「いいから走れ!」

先生に手を引かれて、それから私は慌てて駆け出した。


足が絡まって転びそうになりながら、

心に惑わされないように全身に力を込めながら。


とりあえず私は言われるがまま、引かれるがままに駆けた。

駆けて、駆けて、駆け抜けて。


隣に鋭児郎くんは居なかった。
ファットさんも、居なかった。


きっと、さっき私を突き飛ばしたのは彼らだ。壁に呑み込まれそうになった私の身代わりになったのは彼らだ。


耐えられなくなった私は下唇を噛んだ。

痛かった。
けど、そうしないと耐えられない。


止まっちゃダメだ。
止まったら“裏切り”で。

だから、私は


「また来てるぞ!!」


はっと顔をあげると、壁が目と鼻の先まで迫ってきていた。

驚いて飛び退いて、ジリジリと後ずさる。

壁だけじゃない。
床も、天井も、空間全部がうねって私たちを推し潰そうとしていた。


明確な殺意で、
私たちを殺そうとしている。


「ロックロック!」
「リーダーぶるない!この窮地!もとはと言えば。あんたの失態だ!」


ヒーローロックロックさんが壁に触れて動きを止めさせる。彼の個性は「施錠」。触れたモノをその場に固定することができるというもの。

「狭さは言うなよ。強度MAXの『本締』だとそう何か所も締めれねェっ。締めてねえところからホラ!また!来るぞ!!」

奥から迫る壁に、私は思わず個性を発動させたけど、壁に私のコレが使えるわけがない。

そんなふうに悩んでいる間に、ヒーローデクはその壁を破壊していたし。


「ファットチームが居ればもっとスムーズに行けたのになァ!」

その声は、明確に、私に向けられていて。


「……。」


すうっと息を吸い込んで、心に空気を送り込む。
それでもまだ足りなくて、私はもう一度唇を噛んだ。


足を止めてはいけない。


すべてを飲み込むために目を瞑った。
爪が手の平に食い込んで、唇からは血の味がした。



そんな瞬間、聞こえた。

「ヒヨコちゃんをこんな表情にするなんて許せないですねェ。」

そんな言葉が、耳元で。


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