第45章 まぶしい闇
玄関の扉を乱暴に開けてヒーローは駆けこんでいく。
いいのかな、人の、家なのに。
なんて、今思うことではないのに。
廊下を走ってる間にも、横目でいろんな家具や柱を見た。
いっぱい使い古された、でも大切に手入れされていたもの。一番大きな柱にはところどころキズと数字がついていて。
ここには、たしかに誰かが住んでいた。
誰かが、大切に、
「アマネちゃんっ、よそみはあかん!!」
「っ…はいっ!」
「まっすぐ前向いて目標に向かえ!ほかのこと考えてる暇はない!」
ファットさんの厳しい声に、はっと前を向き小さくうなずく。
「すみま、」
「ごめんもすみませんも言いっこなしや!」
「は、はい!」
声は厳しいけれどまっすぐに、ファットさんの声は揺れた私の心を正す。
足音は騒がしくこの家をいっぱいに埋めつくしていった。私はただその音について行くしかなくて、必死になってその群れに入っていく。
「ここだ。」
サー・ナイトアイの声で皆足を止め、彼の手元を見つめる。
知っていたように隠し扉の仕掛けを片付けるサー・ナイトアイに、やっぱりすごいなぁと感嘆した。
ごご…と音を立てて開いた扉の向こうには、また八斎会の方々がいて。
私があっ、と怯んでるうちにヒーロー達は出てきた人を全員を捕縛した。
怖いやら不甲斐ないやら恥ずかしいやら、私はいろんな感情でぐちゃぐちゃになりながら、隠し扉の奥を進んでいく。
さっきまでのあの家とは全く違う。
寂しくて、冷たくて、生活感のない廊下だった。
胸が、心臓が、はねてる。
緊張で冷や汗が出る。
ついて行くので精一杯だった。