第4章 友達の資格
「大丈夫!君ならきっと皆に追いつけるよ。すぐにとは言わないが、焦ることはないさ」
「あ、ありがとうございます…。へんな事に呼んでごめんなさい。本当にありがとうございました。」
今度はこっちが頭を下げる。こんな事、家族には言えないし、相澤先生はまだちょっと怖いし、頼れるのはヤギさんくらいで。ヤギさんには感謝しても仕切れない。
「良いんだ良いんだ!……それにしてもその子は酷い事を言うんだな。」
「…その人は全然悪くないです。恨まれるのも当然です。私、弱いから。」
彼、凄く辛そうな顔してた。心底憎いって顔してた。こんなふうにズルして入ったみたいな人みたら、そうなるよね。当たり前だよね。
「強く、なりたいです。弱い自分を壊して。」
皆の後ろ姿が思い浮かぶ。頑張らないと置いて行かれてしまう。
「…だからトレーニングをしているんだろう。追いつき、追い越すために。体育祭で結果出して見せつけてやれ!」
「は、はい!私、みんなの隣に胸を張って居られるように頑張ります!」
「うん!その意気だ!」
ヤギさんはやっぱり優しいな。
私はもう少しだけ仮眠室に居させてもらうことにした。不安で堪らなくて、何に不安を感じているかもわからなくて。そんな気持ちを綺麗さっぱり洗い流したくて。
そして、気がついたら頬が濡れていた。