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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第43章 疾走するケダモノ




ドサっ

「う、っぁ」


声にはっとして振り向けば、全身切り傷だらけの安藤が血溜まりに倒れていた。


全身の表面が全部、一気に冷たくなった。
冷えて、固まって、


「…ご、めんっ…!」


それから、一気に熱くなって爆発する。


「安藤っ!!」


ぐらぐら揺れる脳みそを、何処かに居た冷静な俺が押さえつける。


安藤だけじゃない。

ここに居る、全員が。
放っておけば、もっと多くの人が。


アイツが何を使ったとか、
あいつの中で何が起きたとか。
そんなのは後回しだ。


「皆さん下がって!!コイツの刃が届かないところま…」


言う暇もなく、刃の雨は降り注ぐ。


硬化していても、肌は切れた。
傷からは赤いものが溢れてくる。


硬化しても無理かよ、

痛え…いってぇ!


「慢心したなァ!ガキコラぁ!!」


男の身体中から、刃がハリセンボンの様に溢れている。


「偉そうに正義ごっこしとるからや!!」


どう動こう。
俺は、


「烈怒頼雄斗っ!!」
「えっ、」


また心臓が飛び上がった。

振り向くと、ふらふらと立ちあがる安藤が居た。
肘や顎から滴り落ちる血液をそのままに、ただ前を見据えている。


「大丈夫かっ!?」
「…私、負けら、れない」
「えっ」

誰に?


「だから君も…負けないで!」


安藤は剣を作り、地面に突き刺した。

足元にあった血溜まりを地に吸い込ませて、それで、俺たち3人を取り囲む様に、血の檻を作った。


そうか。

アマネは、まだ戦っている。


その檻は、壁、とは程遠い穴だらけなもので。
それでもアマネは真剣に。



「前を、」



言葉に、
その瞳に、

心臓が揺れて、硬くなっていく。


「あぁ、負けねぇ」


刃が嵐のように襲ってくるのが見えた。
でも俺は、


『小細工考えるよりゴリ押し技の方がいいよ。』


かためるんだ。

まだ、もっと、もっと。
身も、心も!


『倒れねーってのはクソ強ェだろ。』


襲いくる刃など、ものともしない。
そんなふうに。

もっと硬く!


『鋭児郎くんの個性は、皆を守れて、かっこよくって、優しいよ!』


絶対倒れぬ、壁となれ!

“個性”伸ばしの圧縮訓練で到達した、現時点での最高硬度。



安無嶺過武瑠


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