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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第40章 〈番外編〉我逢人




共有スペースに、揺れる頭を見つけた。


それは小さな、いつも見ていたもの。

見たことのある上着をかけられたそいつは、こちらの気も知らないでただゆっくり船をこいでいた。


俺はとどまりそうになる足を無視してそいつを横切った。



『安藤ひよこのことが、好きなの?』


聞かれたら俺はノーと答えるだろう。

そういうわけではない。
好きな訳では無い。


ただ、そんな言葉に収まらないようなごちゃごちゃとした感情が、あるだけ。


好きという気持ちが、こんなにも汚いわけがない。


最初はただの、自尊心。

アイツは俺よりすごく無いあいつのことばかり。
俺を見ろって、こんなふう。


それからどんどん重なってった。


デクに言わないのが焦れったくて。

デクばかりなのにまた腹が立って。

アイツの優しさにムカついて。

アイツの笑顔に腹たって。


それで、アイツを救えなかった。
救えなかったって、罪悪感。


好きってわけじゃない。

でもアイツは他とは違う。


どこか何かが、違っている。


横目で見たアイツは、アホ面で眠っているし。


あの時の病院がフラッシュバックするし。


あの時はただ、全身の血液が凍りついたようで。
それを誰にも悟らせないように。


それで、罪悪感からアイツに協力して。告白させて、アイツはふられた。


足を止めた。
くるりと引き返してソファのひよこの前に、そっと立つ。


「ひよこ。」

「んぅ…」

「……ばぁか。」


今までずっと、デクしか見てなかったんだろ。
それなのに急に、ポッキーゲームとかやり出すし。

ムカつく。


俯く頬にはまつげの影がうつってる。

手を伸ばせば届く距離だけど、俺が手を伸ばすことは無い。すべてが壊れるに決まってる。


バカで、アホで、マヌケだけど。

なんだか特殊な変なやつ。


俺は、ひよこに


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