第39章 ベイビー、グッドモーニング
先輩もみんな体操服を着て、太陽の先輩は大袈裟に準備体操なんかしている。
準備の瞬間から負けている気がして、見よう見まねで私も体操を伸ばした。
片っぽの足を畳んで脚の筋肉を伸ばす体操。
片っぽの腕を抱き込んで腕の筋肉を伸ばす体操。
べキバキ、と骨の音がしてうぉおお…と小さく声が漏れた。
先に体操を終えた先輩は、ほかの先輩達から変な注意を受けていた。
“立ち直れなくなる”だの、“辛いよう”だの。
どういうことなんだろう、と先輩を覗き見ても先輩は変わらない笑顔のまま。逆に怖い。
「いつどっからきてもいいよね。」
先輩はずっと笑顔のままで。
なんだそりゃ。
っていうのが素直な感想。
底が見えなすぎて怖い、怖すぎる!っていうのもあるし、馬鹿にされてる感がすごく悔しい。
「一番手は誰だ!?」
「おれっ」
「僕……行きます!」
鋭児郎くんの大きな声を制したのは、出久くんの静かな声。
少しだけハッと息を飲んで、“デクくん”なんだなぁ、流石、だなぁって思うと少しだけ、胸がキシんだ。
デクくんが力を溜めて緑色に輝く。
それを合図にしたように、みんなも力を込めていく。
バキバキっ、とか、しゅるしゅるしゅるっとか。
それじゃあ私も、とカプリと親指にかぶりつく。
血の味を感じて、それから“個性”を発動させた。
大きな大きな血の剣。
赤と半透明のその先には先輩の、先輩の……
「へぁ?」
「あーーー!!!」
先輩の、裸体が。