第4章 友達の資格
全部の音が遠くなる。耳が自分に向けられた言葉だけ拾う。
「おいおい、幾ら何でも言い過ぎじゃね?」
「女の子になんてこと言うんだよー!」
「言葉が過ぎるんじゃ無いか!!良い加減にしたまえ!!」
「…ご……ごめ…なさ…い……。」
「あ、あんなの気にせんでええよひよこちゃん!」
「まぁ、体育祭で本当の実力曝されるだけなんだけどな。」
震えが止まらない。冷や汗もとめどなく出てくる。いつものじゃない。かろうじてできるのは手を体の前で握りしめるいつものポーズ。
彼はきっと、私を心底憎んでる。そうに決まってる。だって私はちゃんと受験もしてなくて、強くもなくて、個性も使えない。恨むに決まっている。それが当たり前だ。
「うるせェんだよクソモブが。自分の力が足りんかっただけだろうが。人に八つ当たりするなんて救えねぇカスだな。」
なんか、勝己くんがなにか言っているような。でも、わからない。頭に言葉が入ってこない。なにも、聞こえない。
「上に上がれば関係ねぇ。」
勝己くんは変わらず大胆不敵に、人がいるの関係なく歩いていく。