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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第38章 眇の恋心





声が枯れて、目がしばしばになった。


涙とともにコンタクトレンズも流れ出してしまい、私は慌てて眼帯をつけた。


ふうと一つ息をついて、空を見上げた。


シンデレラの魔法みたいに、あっけなく、
両目で見える世界は溶けてしまった。


今見ているのはもう、いつもの半分の星空だ。



いずれ轟音がやみ、もう一人、声が増えた。

その声の主は、オールマイト。


「そこまでにしよう、二人共。」


低く、少しだけ掠れを含んだ重みのある声。
昔のようにハリのある声ではないが、私はこちらの声も好きだ、なんて、どこかで冷静な自分が考えていた。


「悪いが…聞かせてもらったよ」


ハッと息を飲み、私は口を覆っていた手を今度は祈るように合わせ、ぎゅっと跡がつくほど握った。

音を立てないように、声を出さないように。
私はかっこ悪く鼻水を垂れ流したまま祈り続けた。


そこからの話は、オールマイトのすべての話だった。

ワンフォーオールという“個性”のすべて。


怖かった。
話が大き過ぎて、訳が分からなくて。
急にひとりが、怖くなった。


来なければよかったんじゃないか。背を追わなければよかったんじゃないのか。


後悔しそうになって、私は唇を噛んだ。
噛んで、押しとどまった。


私はあのとき、自分で決めたんだ。あの時の全てがその答えでしかないんだ。

聞いてしまったことは変えられないんだ。


それが、当たり前なんだ。



3人が去っていくのを見てから、私はふらりと立ち上がる。


このままここに眠ってしまってもいいかと思ったけど、相澤先生のあの時の言葉を思い出して、足を動かした。


部屋に戻り、そして私は考えた。
考えて、考えて、考えた。



彼のことが、彼らのことが好きなだけの私は、
彼らのためになにをする?



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