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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第38章 眇の恋心





「いず……」


勝己くんと、出久くん。


思わず口を手で塞いでしまった。

2人の背中は、どんどん進んで闇に溶けていく。


2人の背中、怖かった。
追っちゃダメな気がする。


でも、どうしても、
足が止まらない。声が出ない。

今追わなかったら、
隣に、友達でいられなくなる気がして。



2人が入っていったのは、“グラウンドβ”。


実習でよく使うあの場所。
いつも普通に使っているはずなのに、なんだか怖くて。


声を上げないように、忍び足で。

2人にバレないように、ビルの陰に隠れた。


ビルは無表情で、無機質で、ただ私を見下ろしている。


こんなの絶対、聞いちゃダメな話だ。
私、帰らなきゃ、なんで。


私わるいこと、してる。


そんな後ろめたさが、胸の内側からチクチクと突き刺してきた。


呼吸が自然と浅くなって。
声は漏らさないようにと、両手で口を覆った。


2人の話って、なんなんだろう。

考え始めると、心臓の音は止まらなくてうるさくて。



「ずっと気色悪かったんだよ……」


勝己くんの声がした。

冷や汗がたれた。
髪からこぼれて頬を通り、顎から滴り落ちる。


思わず膝をたたみ込んで目をぎゅっと閉じた。


「無個性で出来損ないのハズのてめェが、どういうわけだか雄英合格して、どういうわけだか個性発現してよォ」


2人の真剣な声が絶えず耳にこだまするのが、怖かった。


それから2人真剣な声はもっと真剣になっていって、

そして、劇的な言葉が、響く。

























「オールマイトから貰ったんだろ、その“個性”。」



オール、マイト…の、個性……?


身体が固まった。凍ったみたいに、指が冷たくなった。
息が、うまく吸えない。


今までになく真剣な勝己くんの声が、出久くんに向けて発せられていて。


その声は多分、私にまで届いてしまうなんて絶対に思ってなかったと思う。出久くんにだけ向けた、秘密の声だ。



私、聞いてはいけないことを、聞いてしまった。


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