第37章 Let's struggle!
傷病者に扮した、
「HELP US CUMPANY」
の方々がフィールドにスタンバイしていくのを見ていると、自然と手に力がこもっていった。多分、緊張のせいだ。
救助。
救助なら、私だって対等だ。
大丈夫、大丈夫。
何度言い聞かせても頬に熱が集まって、心臓は高鳴って。
小心者の私が、うっとうしい。
私にできることを。
私がすべきことを。
私が、叶えたいことを。
私には、叶えたいことが
ふたつあるんだから。
手に力を込めたまま、私はグイッと前を向いた。
心は不安でたまらない。
いつだっていっぱいいっぱいだ。
不安が無くなったかと思ったら、
今度は羨ましいって思ったり、嫉妬したり。
両の眼が見えてから、世界の見え方は変わった。
美しくって忙しない。
眼のせいで、心はもっとざわついた。
15年も付き合った私の心だ。
もう充分、分かりきっている。
どれだけ自分を嫌いなのかも。全部全部。
でも、
『ひよこが、大好きよ。』
あの文字を思い出せば私は。
冷たかった手に、少しづつ血が通っていくのがわかった。
ジリリリリ!!
耳を劈く大きな音。
聞いたら不安になる、怖い音。
『敵による大規模破壊が発生!規模は〇〇市全域建物倒壊により傷病者多数!』
「…はじまったんだ。」
思ったよりもずっと冷静な私の頭は、くるくるくると回りだす。
轟音と共に、また部屋が開いて、空が見えた。
青くて広い青空には、入道雲が浮かんでいた。
空に浮かんだ宮殿みたいなその雲に、
やってやるぞって、笑ってみせた。