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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第36章 ステレオ




「へぁ……?」


縛られてない右手横腹をぐっと握りしめ、震えながら目を開くと、そこには


「範太くん!」


見慣れた地味目の男の子。

案外近くに迫った彼の顔を見て、はっと目を見開いた。


「安藤、大変だったな。あんなドンパチと。」

「あ、あはは…お恥ずかしい…。」

「まぁ、お前いろいろ目立つからな…。気いつけろよ。」


ぱっぱとテープを剥がして、私は範太くんの隣へちょこんと座った。

岩陰からそっと覗いて状況を整理する。
その戦乱では、

キョロキョロと私を探すもの、
関係なく個性を放つもの、

様々だった。


「どうしよう。…作戦とか…私無くって…範太くんは…?」
「……ない。」
「わぁ」


どうしよう、と右手を唇に持っていく。
ぐにぐにと下唇を摘んでむむむと眉を寄せる。


「なにそれ緑谷?」
「うっ…!ちっ……」
「まぁいっか。」


ちがく、ない。


出久くんの真似だ。


ミラーリング効果とかなんとかって勝己くんに教えて貰ったやつ。真似っ子してみろってやつ。

本人いないから、意味無いかもしれないけど。

なんだか、こうすると安心するんだ。


唇は、生暖かくて、やわらかい。

彼と同じ格好すれば、彼みたいにすごい考えが浮かぶかと思った。


ぜんぜん、出てこない。


「うーん…うーん?」
「考え浮かんだか?」
「うーん…」


唇から手を外して腕を組んでも、頭をコンコンと叩いてみたりしても、なんにも浮かばない。


もう一度、今度はこめかみに手を当てて、うんうんと唸っていると、


「ひよこちゃん、瀬呂くん!」


と小声が耳に響く。
その優しくて可愛い声は、


「お茶子ちゃん!」

「合流できてよかったぁ!」


また私を安心させた。


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