• テキストサイズ

夢を叶える方法【ヒロアカ】

第35章 ZERO TO HERO




地面が足にタンっと硬く応える。

それと同時にモワッとした夏の空気が私を包み込んで

私からは何の汗かわからない汗が溢れ出る。


心臓の音は耳まで聞こえるほどで、それが嫌だから私は、あの箱を胸にぎゅうっと押さえつけた。



「っしゃあ!なってやろうぜ“ヒヨっ子”によォ!!」



萎縮してしまった私の耳に、そんな大きな声がツキンっと劈く。


“ひよこ”?

私に、なるの?


そんな阿呆なことを考えてから、ああ比喩かぁ、なんて息をつく。


そっか。比喩の上では、私はまだ“ひよこ”ですらないんだ。
頑張らないと、たまごのまんまだ。


むんっと気合を入れてから、冷たくなった手を摩ってみんなの円陣に向かい合った。


いつものっていったら、あれだよね。

胸の下にこぶしを作って準備は万端だ。


「“Plus...」


そうそうこれこれ!
だんだん手に血も巡ってきた!


そんなふうにみんなで叫んだその言葉。
つづけた声は、知らなくて...


「Ultra!!!」


「っ!?」


信じられないほど大きな声だった。
耳元で大砲が打たれたみたい。

静まってきていた私の心臓が、また激しく動悸する。
私は瞼が痛くなるほど両目を見開いて、“彼”の次の言葉を待った。


「ああ!驚かせてしまいました!!」


彼はまた大砲みたいに大きな声をだして、ムキムキの四肢をプロペラみたいに大きく動いて頭を下げてそれで...


「どうも!!大変!!失礼!!致しましたァ!!!」


「ひぃぃ!」


額を地面へとたたきつけたのだった。


/ 728ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp