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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第35章 ZERO TO HERO




「はぁ……」


パタン

と扉を閉めて、私はひとつため息をつく。

手の中には未だ、ぽかぽかでぱかぱかの携帯電話。


なんて忌々しい!
こいつのせいで私はあんな誤字メールを送ってしまったのだ!

見事な責任転嫁を繰り広げ、私はおりゃあ!と携帯を布団に叩きつけた。


ぼふんっ

なんて音を立てて携帯は布団に沈み込んだ。

それから私も一緒に布団に飛び込んで、足をパタパタと動かす。

そしたらホコリが飛んで、きらきらひかった。


枕を抱き込んで、このモヤモヤを吐き出すみたいに声を絞り出す。

うぅぅう…!

獣みたいなその声は、誰に届けるものでもない。


私、ちゃんと2倍出来てるかな。
仮免に、近づけているかな。

彼の心に、近づけてるかな。


なんてそんなこと思った瞬間、


ブーン


というバイブレーションが手の中に響く。

うぅんと唸って、それからちらりと目をあげた。


「いっ!!」


液晶画面の中の名前は、彼で。


ぼふっともう一度枕に顔を埋めた。



怖いな。

でも、

きになるな。


「うぅーん!」


震える手でパカリと携帯を開き、
それからちらっと細目で眺めてみる。



【ひよこちゃんもお疲れ様!明日も頑張ろう!メールなんて珍しいね。ため息つくと幸せが逃げちゃうぞ!】



ため、息…?

ぎょっとしてびしっと布団の上に起き上がる。

なに?
なんで、ため息ついたの知ってるの!
どうした!!


頭は一次大混乱となって、
それからちょっと経ってから

ハート、と打って変換しようとした残骸が、そう見えたのか、と頭が落ち着いていく。


落ち着いてそれから、虚しくなった。

ハートが、ため息になっちゃうなんて。
メールでため息なんて打っちゃうやな子だと思われちゃったかな…。


「はぁ…」


私は、ハート…ではないため息をついて、
目をゆっくりと閉じた。


返事を書くつもりだったのに、そのまま眠ってしまうなんて、

次の朝はそうやってまた、絶望した。


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