第35章 ZERO TO HERO
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あっぷっぷ
共同スペースのソファの上に体操座りをして
携帯とにらめっこ
「フヘエエエ。毎日大変だァ…!」
「圧縮訓練の名は伊達じゃないね。」
女の子の会話は、耳の右から左へ流れてって。
私は、眉をしかめて空っぽのテキストボックスを睨みつけている。
睨んでも、言葉が浮かんでくる訳でもなくて。
「安藤も大変だったね!“貧血”で倒れちゃうなんて。」
「……。うぅん…」
「ひよこちゃん?」
「携帯がどうかしたの?」
背後に気配を感じて私はバッと立ち上がる。
「にゃっ!にゃんでもない!!携帯!じゃないよ!」
「どうみても携帯だよ!」
噛んだ。
そんな反省をしながら私は携帯をパタンと閉じて天高く持ち上げる。
絶対に、見られたくないのだ。
宛名の欄の、あの名前。
周知のことかもしれなくても、恥ずかしくて恥ずかしくて。
「あー!!スキナヒトにメール書いてんだろー!」
「ちっ、ちなうよ!!ちがう!!」
「怪しいぃー!」
噛んだ。
そんな反省をもう一度しながら私は、わたせぇ!きゅんを支給しろ!っていう亡者たちから携帯を死守するためにぴょんぴょんと飛び跳ねる。
今日のミッションなのだ。
デクにメール遅れー!って。
「しぶといぞぉー!緑谷だろぉ!!」
「うわぁぁあ!!」
「デク…くん……。」
そんな攻防をしていると、小さな声が聞こえた。
携帯を持ち上げたまま、そっちに目を向ける。
そこには、赤くなったお茶子ちゃんがいて。
どっきん
と胸が飛び上がる。
「携帯とったどー!!」
「……。へっあぁー!だめぇ!!」
それで、
簡単に、とられちゃって。