第33章 A world beginning with you
「おばさん!みんな!」
随分と久しぶりになる我が家に寄ると、みんなは半泣きで飛び出してきた。
「ねぇちゃんねぇちゃん!」
「しんだ?しんだの?」
「しんじゃった?」
「私、生き返っちゃった!私、みんなが居たら何度も蘇るよ!」
そうやって、冗談混じりで返したら、みんな泣きながら、ねぇちゃんすげーって、言ってくれた。
最後にノロノロと現れた優は、泣きそうな顔をしていた。
「心配かけないでよ…。ばか。」
「優…。心配かけてごめんね。…本当にありがとう。」
よしよしと頭を撫でれば、優はポロポロと涙をこぼした。
初めて、この子の涙を見た気がした。
「ひよこ、荷物は全部送っといたから。」
「うん!」
笑顔で親指を立てるおばさんに、私も親指を立てて返す。
「困ったらすぐ電話すること!私いつでも飛んでくから!」
「うん!」
行こうとすると、みんなが飛びついて。
「ねぇちゃんいかないでぇ!!」
「やだぁ!」
「もう泣かないの!すぐ帰ってくるから!」
「じゃあ、みんなと仲良くね!」
「…うん…!」
後ろ髪引かれる気持ちを抑えて、地面を蹴る。
「じゃあ…行ってきます!!」
くるんと後ろを向くと、ちょっとだけほろりときて、少しだけ早歩きをした。
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゜:
ガタンゴトン
ガタンゴトン
私は夜の電車に揺られて、今度は寮に向かっていた。
小さい箱のような電車は、夜闇をまさぐりながらゆったり進む。
いつも乗っていたはずの電車が、少しだけ不思議に思えた。
不幸な人も幸せな人も、こんなに近くに、ずっといるなんて。
そして、一駅止まる事に、心臓はだんだん激しくなっていった。
みんなは私をどう思うだろうか。
気まずくなっちゃうんじゃないかな。
そんな不安がぐるぐる回って。
そんなこと考えてたらほら
もう最寄り駅だ。