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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第29章 〈番外編〉青い心は揺れ動く。




ひよこちゃんは目をまん丸にして私を見つめた。


「…好きってどんなんなん?……ちゃんと、わかんないみたいで…。」


そうやって言うと、みんなはふむと考え始める。


「あ、いやっ、別にそんな、今誰それが気になるとかそんなんじゃなくて」
「…私も、わかんない。」
「へ?」


慌てて訂正していると、ひよこちゃんははっきりそう言った。



「お茶子ちゃん、私もだよ。」



ひよこちゃんは抱えていた枕をポイとたおして私を見る。

その声に、なぜだか私の心が晴れていく気がした。


枕の先にあったひよこちゃんのおっぱいは、ささやかで可愛らしい。ひよこちゃんらしいおっぱい。


あ、ひよこちゃんだって思った。

そっか。
みんなにあるものなんだなって、当たり前のことを考えた。


「私も、よくわかんない。」
「でも、好きって…」


「なんか、わかんないけど……胸がぎゅってなる……飛び出る…感じ。」
「飛び出る!?」


厳密じゃなくて、定義なんてない。
専門家とかなら絶対言わないような、いい加減なその言葉は、正解な気がして。


私も、枕をポイと前に投げ出す。

恥ずかしそうに頭をかく彼女は同い年で。


「難しいこと聞いちゃって申し訳ない……。」
「私も答えられなくてごめんね。」


そうやってまっすぐ答える彼女は、ステキな女の子だった。



「もしかして、お茶子ちゃんも緑谷くんのこと…」
「っ、ちゃうちゃうっ!!そ、そそ、そんなわけないやん!!」

透ちゃんにそう言われて、私の顔はボッと赤くなった。

好きって……まだ決まったわけじゃないけど、

「けど…」
「けど?」


「デクくん見てると、私ももっとがんばろうって思えるよ!」


確かなことをひとつだけ、はっきりと声を上げた。

そうしたら拳藤さんが、


「そうなんだ。周りにそういう気持ち思い起こさせるって、いいね」


とさっぱりと笑う。

デクくんのいいところが、私が“好きなところ”が伝わったような気がして、嬉しくなって。


私は、ひよこちゃんと顔を見合わせてニッと笑った。


「あ、でも、デートとオールマイトの握手会だったらオールマイト取りそう!」

「え」
「え」

「彼氏としては、ない。」


はっ、となにかに気づいて、私とひよこちゃんは、微妙な顔になった。


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