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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第29章 〈番外編〉青い心は揺れ動く。




別に分かってたことやん。
ひよこちゃん、わかりやすいもんなぁ。


そうやって、必死に傷んだ心に言い聞かせる。

というかどうして傷んでいるんだろう。
デクくんのこと、好きとかそんなん違うのに。


無意識に皺を寄せていた眉間をさすり、もう一度隣のひよこちゃんを見た。


ひよこちゃんは、拗ねていた。


枕を抱きしめて丸まっている。
そんなダンゴムシ状態のひよこちゃんに、三奈ちゃんは必死に声をかけた。

「ごめんって安藤!拗ねないでよー。」

「…拗ねてない。」

「じゃいろいろ教えて!なんで好きになったのー?」

「…い……いやだ…!」

「もう、芦戸さん。やめてあげてください。」


どんどんと赤く、丸まっていくひよこちゃんを見かねて、八百万さんは声をかけた。


「ひよこちゃん、無理は言わんから。ごめんね。」


ダンゴムシの背中をさすりながらそう言うと、その背はムクムクと伸び、枕から少しだけ顔を上げた。

顔は赤いままで、目は少し潤んでいて。


「…お茶子ちゃん……ありがとう。ごめん。」


ごめん、でもう一度ぼふんと顔を枕に埋める。

それから彼女は、キュッと身体を丸めてムクリと起こし、体勢を整えた。


「復活!…です。」

「おぉー!」
「さすが安藤ー!」
「良かったわ。」
「よしよし。」
「復活なされたのですね。よかった。」
「ん」


枕を抱えて、ひよこちゃんはにかっと笑った。


あ、笑顔かわいいな。
こんな笑顔なら、デクくんも好きになっちゃうよ。

両想い…なのかな…。


そんなふうにどっかで思って、また知らない間に不機嫌顔になっていた私の顔をぐにぐにと触った。


ダメだ…このままじゃ……




…差がついてしまう。




「でもキュンキュンしたいよぉ!!キュン!」

「恋バナ…でなくても……」

「でも!キュンしたいじゃん!」

みんなはキュンキュンと大騒ぎ。


キュンは女の子の栄養なのだ。

さらに思春期女子にとって、枯渇問題。

最近はお勉強ばっかりでそういうことから無縁やったから、みんなそういうの求めてるんやよねぇ…。


「じゃあさじゃあさ!」


なんだか行き詰まった空気の中、透ちゃんがもう一度声を上げる。


「妄想で恋バナしようよ!」
「妄想?」


その不思議な響きに、みんなかくんと首を傾げた。


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