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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第28章 君に伝えたいこと




私は焦っていた。




“ついた嘘は次第に大きくなって、いずれ身を滅ぼすだろう。”




そんな言葉を、聞いたことがあったような気がする。



こんな下手くそな嘘を、彼は信じてくれるだろうか。


震えているかもしれない。
もしかしたら涙で目が潤んでいるかもしれない。


背の高い彼に上を向かされる形で、つま先立ちをしながら。


それでも、キッと睨み続けた。



「そんな目で見るな。嘘つきのくせにナマイキだ。」

「おわっ…」



死柄木さんは私の顎をぐいっと引き寄せる。


つま先立ちをしていたバランスが保てなくなってぽてと死柄木さんの体に体重をあずける形になった。


真上を向かされる首が痛い。

死柄木さんは、なんだかほこりっぽい匂いがした。



「んう…うううっ!」


ぶにぃと頬を潰されてまともに言葉も出せなくなって、私は必死に抵抗した。



「強がりの嘘もやめとけよ。下手くそが。」

「う…うるひゃいでふ!わひぁひは…!」



世界をつなぐのは言葉のはずなのに。


その方法だけは閉ざさないで居ようとしたのに。


どうしてか今は混乱ばかりが溢れて、



言葉が出てこなかった。




咄嗟に顎を引いて、添えられていた指に噛み付く。




かぶっ!!


あの、人をも崩せてしまえるその指に、全ての元凶のようにも思えるソレに、私は牙をむいた。



犬歯の1番鋭いところでやってやる。


ぐって力入れてやる。


人差し指にやってやる。



指を咥えたまま彼を見上げると私が求めていた痛がっている悔しそうな顔はなく、ただぽかんと、きょとんとした顔で。



私はムッとしてもっと力を込めた。


「んうううううっ!!」
「いたた…」


口の中に少し、血の味がした。


やった、痛がらせてやった。

少しはやり返せた。やり返してやった。


私はずっと抵抗し続けてやる。


そうやっていないと、もう二度と戻れなくなる。


帰る権利が、なくなってしまう。


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