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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第28章 君に伝えたいこと




優くんのその声を聞いて、僕は下を向いて、それからきっと前を向いた。


「僕、ひよこちゃんにちゃんと伝えないといけないことがある。だから、僕が帰ってきて欲しいんだ。」


自分がどれだけ大切にされているのか、ちゃんと教えないと。ちゃんと叱って、ちゃんと知ってもらわなきゃ。


「そっ、か…。」


優くんは、あの冷たい顔を溶かして、ゆっくりと目を伏せた。


「じゃあ、ふたりに…まかせていい…?」

「…へ……」


伏せた目から、何かがキラリとこぼれ落ちた気がした。


優くんはくるりとパソコンの方を向いて、作業に没頭した。




そうか。

そうか、優くんも。


優くんにとってもひよこちゃんは。



「優。てめェも言えよ。」


今まで黙っていたかっちゃんは、静かに言った。

ふっと隣を見れば、冷静でいつものかっちゃんとは違う彼がいる。


パソコンに向かっていた優くんは、静かに言葉を紡ぐ。



「ひよこは…ねーちゃんは……僕に、居場所をくれたから。」


あぁ、優くんのその恩は。

その気持ちは。


きっと誰より大きくて。


ひとことひとことが重たくて、大きくて。
僕は握る手を強くした。


「あいつがいなかったら、たぶん……僕は、敵になってたから。だから…ねーちゃんは」


ねーちゃんは。


その言葉の先を、僕は知っている。


そのしゃくりあげる背中も、こぼれる雫も。

全部全部、ひよこちゃんに向けられたもので。


それを全部教えてあげれたら。

彼女はどれだけよろこぶだろうか。





「僕の、ヒーローだから。」





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