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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第28章 君に伝えたいこと




優くんはちらと僕を一瞥すると、

「あ、出久くん。なんの用?」


と、いつもの様にクールに返した。


「あ、や、その…」
「勝己くんと同じ用?」


じいっと彼のネコのような目が僕の目を覗き込んでくる。選別するような目付きに、少しだけたじろいだ。


かっちゃんは優くんの言葉のあとにこちらを見て、チッと大きく舌打ちをした。

「あ、えっと、」


扉の前で、どうしようかと足がもたもたする。

それから思いついたようにかっちゃんの反対側から同じようにパソコンを覗き込んだ。


「うぉぉ…」


見れば、全く見たことのない、スパイ映画みたいなプログラムとかが色々あって思わず感嘆の声が出た。


「優くん凄いね、さすがだね!天才だ!まだ中学生なんでしょ?かっこいいね!」

「…っ〜!!」


心のままに褒め言葉を連ねると、優くんはガバッと下を向いた。耳が、真っ赤で。


「見ないでよ!集中できない!!」


耳を真っ赤にしたまま、彼は一蹴した。

行き場を失くした僕らはちょこんと優くんの後に座る。


パソコンに向かい合う優くんの姿は、少しだけ大きく見えた。


「……2人はさ、ひよこを助けたいの?なんで?」


僕らに背を向けたまま彼は言う。

予想もしてなかったその言葉に、僕は一瞬考えた。


“なんで”……なんてそんなの…


「アイツを一発殴りてぇ。…俺がぶっ殺して連れ戻す。」

隣のかっちゃんは、何のためらいもなくそんな物騒なことを言った。


「ふぅん。…で、出久くんは?」

「僕は…」


言葉を繋げようとすると、優くんは僕の言葉を遮った。

「“助けを求めてたから”…とかやめてね。」

「え…」



優くんの、冷ややかで突き刺さるような目付きに僕は口を噤んだ。


「ひよこバカでめんどくさいからさ、それだとひよこ、また責任感じるよ。」

「え、そんな」
「2人はひよこにとって大事な人間なんだよ。特別で、何にも代えられないかけがえのない存在。」

冷ややかな顔から零れてくるひよこちゃんの暖かい感情は、僕の心を冷やしていく。


「そんな2人が自分を助けるために怪我したり、自分のせいで何かあったら、あいつまた悩む。……バカだから。」


優くんの言葉にたじろいだ。

終始冷たい雰囲気の彼だったけど、最後の“バカだから”は、どこか暖かかった。


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