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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第27章 once upon a time





真っ黒で虚ろな目は、いつもの暖かい優しい目にはどう頑張っても見えなくて。



優しく揺れていたサラサラの猫っ毛は、乱れて乱れてぐちゃぐちゃで。



オールマイトに拘束されてなお虚ろに抗い続けている。



誰が見たってすぐ、コイツはやばい、コイツは“敵”だって分かる。



信じたくなくて、頭が真っ白になって、体が固まった。


目が痛くて、


目を瞑りたくなって。



「君は…イレイザーヘッドだね!ここは私に任せて、君は奥へ!!」



グラグラとした頭は、その声で引き戻される。


そうだ、そうだひよこちゃんは。



覚束無い足を引きずって、俺は奥の扉を開くとそこには。




血溜まりの中で呻くひなたさんと、




その赤の中で立ち尽くした、ひよこちゃんがいた。




「ひよこ…ひよこの……こせい……?…おかあ…さん……?おとう、さんは……?」




ひよこちゃんがこちらを向く。


右目からは不穏な闇が溢れ出ていて、俺は考える間もなく個性を使った。


闇は余韻を残しながらも消えて、ひよこちゃんは、それと同時に糸がプツンと切れたように意識を失った。


慌ててひよこちゃんを抱きとめる。

ぐったりとした体はまだ軽くて。


ひよこちゃんはまだこんなに小さいのかと、知った。


抱く力は、自然と強くなった。




**



ひよこちゃんの個性は、人の心を壊すもの。

ひよこちゃんの右目は、そういうものだそうだ。


その個性は、様々なことを守るために秘密裏に扱われることとなった。



そのうち、ひよこちゃんとひなたさんは、何処かへ引っ越していった。

最後に目にしたひよこちゃんは、右目に大きな眼帯をつけていた。ごわごわと慣れないであろうそれに、ひよこちゃんは抵抗しようとはしていなかった。


このニュースは広く報じられ、ヒーローカインドネスはヒーローとしては再起不能となった。

ヒーローがいきなり敵になったことにより、社会は恐怖に煽られた。しかし、その恐怖も、すべてヒーローカインドネスの過失にすることにより風化していった。



ヒーローカインドネスは、敵に堕ちた最低なヒーロー。



あの最高に優しいヒーローを覚えている人は、もう居ないのだ。


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