第27章 once upon a time
「じゃあまた明日。」
「またきてねー!」
「ご飯作って待ってるわよー!」
3人一緒に玄関で、大きく大きく手を振って。
そんな風に別れてそれで。
薫風が吹く5月のいちばんはじめの、そんな気持ちのいい日だった。
そんなことばかりよく覚えている。
昨日のことのように、覚えている。
*٭*。
。・:+°*。*٭
『Ich glaube, im Boot,
das vorüberfuhr,
hörte ich etwas Banges sagen.』
。・:+°❀*。。・:+°
いま過ぎていった舟の中で________
________不安な気配がかたるのを
聴いたように私は思う。________
❀*。。・:+°❀*
。。・:+
それは突然で、
“Ring! Ring!”
ありきたりなその音は
携帯から流れるその音は
その時だけ無性に、嫌な感じがしたんだ。