第24章 涙をとめる方法
指1本すら動かない。
あ、私死ぬんだ。
なんて、
脳が自身の死を受け入れはじめた。
ごめんなさい、こうたくん。
ごめんなさい、
おばさん。
ごめんなさい、
いずくくん。
いっぱい、
ごめんなさい、
おとうさん。
わたし……
ほんと……
……は…
……に…
……ぁ
…いしき………
……が……
とお……
い……
……て……
CRACK!!!
大きな音が耳に響いた瞬間、私の身体はドサリと地に落とされ誰かに運ばれた。
「げほっごほっ!…はっ……」
数十秒ぶりに酸素が補給されて脳みそがパチパチ弾ける。
つま先から髪の先まで血液が一気に巡り巡る。
なにが、起きたの?
そう考えられたのは、その10秒後くらい。
今まで白けていた世界が鮮明に見え始めて、
地面にくっついた顔を持ち上げる。
そうして見えた景色では、
「なん……で…?」
出久くんが、1人で戦っていた。
「ひよこちゃんも、洸汰くんも、僕が必ず、救ける!」
「いず、く……くん…?」
なんで?
なんで彼はいつも、
私が困っている時いつも、
どうしようも無く、
助けて、くれて、
しまうんだろうか。
どうして私を、助けて、
しまうの、だろうか。
私はどうしていつも、
助けられることしか、
出来ないのだろうか。
あの時、あんなに嬉しかった言葉が、今は私の首を絞めていた。
さっきと同じ感覚が、もう一度体を巡る。
ゆっくりと、確実に、正確に。私の息を、奪っていく。
「……ごめん…なさい……」
絞り出したような、変な声が聞こえる。
その声が自分のだって気づくのに、また時間がかかった。