第24章 涙をとめる方法
私は必死に暴れた。
手を、離してもらえるように。
地に足をつけられるように。
それは、無意味だった。
骨がミシミシいっている。
メキメキと嫌な音もする。
怖い。
けど、洸汰くんを怖がらせるわけには、絶対いかない。
私はどうすればいい?
私には、なにができる?
「こ、うたくん!私は平気!絶対平気だよ!こんなの、怖くもなんともない!だから!だか、ら…!!」
強がりと嘘が口からひっきりなしに出る。
だから、なんだ?
私はとんだ口先やろうだ。なにも、してあげられない。
洸汰くんを、ここから逃がさないと。でも、他に敵がいたらどうしよう。そんな危険なところに1人で行かせるなんて出来ない。
考えなきゃ、考えて、考えて!私!
この人を、たおすの?
そんなの……できるわけ…
「だから…だから!」
「喋るなよ。うっぜぇなぁ!」
「ぐっ!ぐぁっ…かはっ!」
目の前の巨体は、私の肩から首へと手を動かし、片手で、首を持って私の身体を持ち上げた。
首が、締まる。
いきが、できない。
苦しい。
混乱の中、その巨体からフードが取れたのが見えた。
目が、かたっぽ変だった。
「お前……」
「…こ…たっ…く」
「パパ…!ママっ……!」
その声を聞き、思考力を全部集めて考える。
この人が、もしかして。
首が、絞まる。
力が強くて、やっぱり私は宙ぶらりん。
手をその腕に伸ばして引っ掻いても、必死に足をばたつかせて蹴っても、全く通用しなかった。
「はなっ…てっ……ぁ……」
「なかなかしぶてぇなぁ。あー…生け捕りって話だったか?まぁいっか!ぶっ殺しちまったって言っちゃえばなぁ、いいよなぁ!」
目には生理的な涙が溜まって、足にも力が入らなくなってきた。
死んじゃ、だめ。
いや、死んだ方がいいのかも。
視界がボヤける。
いしきが、とおのいていく。
まもらなきゃ
だれを?
たすけて
だれを?
かえらなきゃ
どこに?
あいたい
だれに?
まもらなきゃ
「………ケァ」
「安藤!!」
涙がこぼれて、力も入らなくて、
喉からは聞いたことない音がでて、
あぁ、私はまた何も出来なかったなって、どこかで冷静に考えた。