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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第24章 涙をとめる方法




はあああああああああ


ふううううううううう


声にならない、息のような叫びをあげながら、私は昔と同じでただやみくもに走っていた。


ただひたすら、やみくもに。どこか遠くへ。
誰もいない場所へ。


私は昔から、なんにも変わっていなかった。


変わっているのは、ちゃんと靴を履いていることくらい。


『いつまでも目をそらしては居られないよ。』


そんなの…わかってる。分かってるよ。
でも、私は、


友達でいられなくなることが、いちばん怖くて。


個性を告げた時、彼の腕に力がなくなって、
全部、変わっちゃったんじゃないかって、怖くなって、腕を振り払って走って逃げてきた。


やっぱりダメだったのかな。


彼は私を怖がるかな。
全部、変わっちゃったのかな。


やっぱり言っちゃ、ダメだったのかな。


人気が無いところをやっと見つけ、木にもたれてしゃがみ込む。


頭を抱えて、声を抑える。


「…く…ううあ……ぁああ…あ……」


喉が、焼けているみたい。


涙は熱くて、でもこぼれ落ち無かった。
ちゃんと、舌を噛んで堪えたから。


腕に力を込めて、脚を畳んで必死に木に背中をこすりつけて。木にくっついて、もう、一緒になるくらい。


もう、ここからいなくなってしまった方がずっといい。


「…泣く……資格なんてない……泣くな…。」


そんな呟きを聞く人なんて、どこにもいない。


私には、本当のお友達は、できない。


ぐっと頭を押さえつけて、一番自分が小さくなれる体勢になる。


その日はそれで、一晩をあかした。


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