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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第22章 must to be




「あの、洸汰くん。それ、ひとりじゃ重いでしょ?手伝うよっ!」


私は、いつもみんなと喋る時みたいにしゃがんで、それから声をかけた。なるべく優しく、壁を作らないように、でも丁寧に。


「……ふんっ。」
「えぇっ」


しかし、こんなにも慎重に声をかけたのに、洸汰くんはガン無視だった。こちらを一瞥し、ぷいっとそっぽを向き行ってしまう。


「ごめん、無視しないで……。」


年上のくせに私はとんでもなく情けない声を出す。捨てられそうになった犬のような。だって、無視されると心臓がきゅっとする。


「…まずは名乗れよ。常識知らずが。」
「ご…ごもっともです。」


彼はこちらに目を向けないままぽつりとつぶやく。


子供に窘められるとは情けない…と少し落ち込んだ。


洸汰くんの後ろでちゃんと正座をし、両手を地面につけて宿の女将さんのようにぺこりと頭を下げた。


「雄英高校の、安藤ひよこと申します。以後お見知りおきを。」
「ふーん。」


頭を下げたまま、上目遣いで洸汰くんを見つめると、彼はもう1度ちらとこちらを眺め、興味無さそうに去っていった。


これだけ丁寧にやっても、興味ひとつ引けないのか、と正座のまま落ち込む。私、ちっちゃい子と遊ぶの好きなのに…と。


これは骨が折れるなぁと思いながら、もう1度洸汰くんに話しかける。ちゃんとしゃがんで。なんだか私の方が部下みたいになっている。


「それ、私持つよ。私も、お世話になってるだけじゃダメだし、みんなの役に立ちたい。」
「勝手にしろよ。」
「……私、君と仲良くなりたいし。」


そう言うと、彼はギロりとこちらに向き、



「ヒーローになりたいなんて連中とつるむ気はねぇって言った。」



と、すごい剣幕で言い放った。


胸が、キリキリとする。


“ヒーローになりたいなんていう連中”の中に、私は入れているのかな。なんで彼はそんなこと言うのかな。なんて頭で回る。


「あ……お前はヒーローになるために来たわけじゃないってさっき言われてたっけ。」
「……う、ん。さっき言われた。」
「じゃあ、お前は……ヒーローになりたいんじゃねぇの?なんでここにいんの?」


否定も出来ないし、肯定もできない。私はきゅっと口を結んで考える。


なんて答えればいいのかわかんなくって、私は膝の上でぎゅっと拳を握った。


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