第22章 must to be
『全部、_______』
私の、せい。
うん、知ってるよ。知ってたよ。
許されないってことも、ちゃんと分かってるからね。
頭の中でそう繰り返してそれからやっと、ゆっくりと顔を前にやった。
ちゃんと、鋭児郎くんに言い訳できたかな。なんて頭の隅っこで思いながら。
辺りは緑ばかりで、その緑は私の網膜を容赦なく攻撃してくる。目がちょっぴり痛い。
みんなはザワザワとしている。
B組は?とか、ここパーキングじゃなくね?とか。
こんなにも何も無いところに止まって降ろされたんだ。多分、なにか理由があるんだろうなと、ただ身で感じていた。
「何の目的もなくでは意味が薄いからな」
先生がぽつりとつぶやいて、私はその方に振り返った。
そこには、なんだか不思議な格好のふたりの女性と、小さな男の子が立っていた。
「…みんなに、会いたくなっちゃうな……。」
男の子を見て、ぽろりとこぼれる。
そんな言葉は誰も拾わず、ふたりの女性の声がかき消していった。
「煌めく眼でロックオン!」
「キュートにキャットにスティンガー!」
「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」」
ふたりは、ぱしっ!びしっ!と華麗にポーズを決めた。可愛らしいコスチュームで、なんだか日曜日の朝とかでやってそう。
「今回お世話になるプロヒーロー『プッシーキャッツ』の皆さんだ。」
相澤先生は、いつも通り、低いテンションで彼女たちを説明した。
私もテレビで見たことがあったし、出久くんはいつも通りブツブツと感動している。
でも今は、その言葉たちは全部、頭を通り抜けていく。何も残さないまま、ただ私の頭を通り道にして去っていく。
「あんたらの宿泊施設は、あの山のふもとね。」
プッシーキャッツさんのひとりがそう言うと、みんなは冷や汗をかきながらザワザワと後ずさりを始める。
私はまだ、ただ山を眺め続けていた。