第22章 must to be
荷物をぎゅっと抱き締めながら、ガーンと気づく。
こんなんじゃまだ、中学校の時のままだ。
恐るべきコミュ障根性。
こんなんじゃ、なんにも変われてない。
でも、みんなのこと大好きだから、失望されたくないし、私ばっかり大好きで嫌われてなんかしてたら…なんて知りたくない。
私、本当の友達になれてるかな。
本当の友達って、なんだろう。
秘密がないのが本当の友達?
対等なのが?
それだったら私は…。
頭の中でぐるぐると討論が始まって、んーとまぶたに力を込めた。
このまま眠っちゃえないだろうか。
そう思ったけどみんなのザワザワや胸のドキドキでまぶたが震えて眠れなかった。
眠いはずなのに。
眠れるはずなかった。
ぎゅーっと瞼に力を込めてバスのエンジン音を待つ。
すると、ギシリと隣に誰かが座った気配がした。
……こういう時、こういう哀れな生徒の隣に座るのって、だいたい先生だよね。お前ちゃんと仲良くやれてるか?って、不器用でおせっかいな探りを入れられるんだ。
そう思ってあの黒い服と眠そうな目を予想して、恐る恐る瞼を上げた。
その予想は、さっぱりと外れてしまった。
「隣、空いてんなら座ってもいいか?」
「…え」
そこに居たのは、黒ではなく、赤。
つんつんの赤い髪と、朗らかでキラキラな笑顔。それから、パッチリとしたつり目。
切島鋭児郎君だった。