第21章 〈番外編〉Over The Rainbow
「ライオンか?」
「うん。この子はね、勇気が欲しいんだよ。臆病者だから、強くなりたいんだよ。…私も、勇気が欲しいから。」
なんとなく、似てるなって思った。
私には今、全然勇気が足りない。
夢を追いかける勇気も、夢を諦める勇気も。何かを決断する勇気が全然無いみたい。
「私も、ドロシーみたいな人と冒険でもしたら、貰えたりするのかな……」
目を伏せながら呟き、その後なんちゃってー、と冗談めかして笑った。隣にいる轟くんの顔を、その時なぜだか見ることが出来なかった。
「轟くんは、ドロシーになれそうな勢いだよ。前向きで、行動力あるもん。」
「いや、俺は男だぞ。」
「そういう問題じゃないよー。」
轟くんは固いなぁと笑顔を浮かべながら話した。
勉強、全然進まないや。またそうやって自嘲的に笑った。
そんなふうにしていると、轟くんが声を上げた。
「俺は、ドロシーよりもコイツだ。」
そう言って彼が指さしたのは、私の描いた、不格好な真顔のブリキの人形だった。
「轟くんがこの子?そんなわけ……」
そんなわけない。
そう言おうと彼の顔を見上げると、彼はいつもと同じ。いたって真面目な顔をしていた。
「なんでそんなふうに思ったの?」
言葉を、そう言い換えた。