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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第21章 〈番外編〉Over The Rainbow




放課後は、教室に一人残った。
もちろんプリントを終わらせるため。


私は1人でもくもくと集中してプリントを……やれる訳がなく…。あまり集中出来なかった。


「最終兵器…!」


そう呟き、私はカバンをガサゴソあさり始める。


指の先で微かに冷たいものを感じ、それを引っ張り出す。


中2のとき買ってもらったミュージックプレイヤーだ。


カナル型のイヤホンを耳につけ、ポチポチと操作し、なんとなく聴きたい曲を探す。


私のミュージックプレイヤーの中は、めちゃくちゃバブリーだ。おばさんが持っているCDは大体その辺の世代だから。荻野目洋〇ちゃんやら薬師丸ひろ〇ちゃんやら。29歳と自称しているけれど、CDで年代もろバレだ。


六本木純情派……セーラー服と機関銃……と見事に80年代が繰り広げられている中、その曲はポツンとひとつ異彩を放っていた。なぜならひとつだけ、外国語の曲だから。


『Over The Rainbow』


ミュージカル映画『オズの魔法使い』の劇中歌だ。
このCDは、私が幼い時、どうしてもと言ってお母さんに買ってもらったものだった。


どうしてだかやけにそれが目について、ポチリと決定ボタンを押した。


小さな頃から何千回と聴いて、最近はすこし遠ざけていた曲。


耳に馴染んで懐かしい。
口も自然と動き出す。歌詞は、聴いている間に自然と覚えてしまったようだ。英語は苦手なのに、ちゃんと歌える。


幸い教室には誰もいないし、廊下も……多分誰も通らない。


でも小さな声で、口ずさむ。
夢を叶えようとするその歌を。


それを、誰かが聴いているとも知らずに。


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