第21章 〈番外編〉Over The Rainbow
「トトっ!待って待って!」
「どうした!?」
トトを追う声をわざと大きくする。
怖くてたまらないので、早く暴いてやりたかった。
ペテン師の嘘を!!
「いけぇ!!暴けぇ!!」
「いきなりどうした!?」
トトは煙のなか駆けて駆けて、怪し気なカーテンを見つけた。
急いでそこに駆け寄る。
トトはそのカーテンをぐいと引っ張り、中に隠された嘘を暴いた。
その中には、またまたよく知った人。
ちょっと小汚いってよく言われる、相澤先生が隠れていた。
「あ。やべ。」
「先生だー!!!」
相澤先生、全然衣装変わっていない。普段着。
「わぁぁあ!!小汚いおっさんだー!!」
無慈悲なかかしさんの声が玉座に響く。
小汚いだなんて、担任にむかって……。
「な……貴方は、オズ様のお付の方……ですか?」
尋常ではない震えでブリキの天哉くんが聞く。
ああそうか、そういう考え方もありか……。
それだったら逃げ場もあるな……。
「いや、オズはおれだ」
「観念しちゃった!」
先生は逃げることなく白状してしまった。
「え…さっきのおっさんの声は?」
「ペテンだ。」
「正直者だ!!」
ペテンもすぐ認めちゃって、私たちは呆然として立ち尽くした。
さっきまであんなに盛り上がって暴いていたけど、あ、そういえばペテン師だったらいろいろとくれないじゃないか!とハッとする。
さぁっと顔が青ざめていく。
実は、ここから先の物語は覚えていないんだ。
「お、俺たち…どうする?」
「すみませんオズ様!貴方はペテン師ですが、僕達に脳や心をくれるのですか!」
あたふたしながら天哉くんは聞く。
相澤先生…いや、オズ様は全く動じないで、ずっと無表情のままその言葉に返す。
「あぁ。御茶の子さいさいのさいだ。」
「ええぇぇえ!!」
ペテン師のその言葉は、やっぱり全然、信じられなかった。