第21章 〈番外編〉Over The Rainbow
「喜んで!ズッコケ3人組!ちょっとなら会えるらしいよ!」
お城の端っこの方でみんなでちょこんと座っていたら、お城の人が飛び込んできた。なんか不名誉な名前で呼ばれた気がするけど、そんなこと気にする前にみんな飛び出す。
「まじっすか!」
「やった!」
「心を貰えるぞ!」
「ワオンっ!」
みんなで飛び上がってお城の人の後ろについて行く。
みんなの心は浮き足立っていた。
わたしの心にだけ、1片の曇りがあった。
私は知らないふりをしたけれど。
「オズ様凄いよ……!怖いよ……!それでもいい?」
「え……」
「上等だ!」
「ここまで来て黙って帰れるわけないんだ!」
大きな大きな扉の前で、お城の人はもう一度だけこちらを見て私たちを脅かした。
私はまんまとそれにはまって怖がってしまったけど、後ろから2人の逞しい声が響いた。
「いい?じゃあ…頑張って!」
「うん!」
お城の人はグッと胸の前で腕に力を込めた。
うん。なんとか力を貰えた。
私たちはその大きな扉を3人で一緒に開けた。
重たくて、ギシギシと変な音がして、変な匂いがした。
「よいしょー!」
扉を開けると白い霧がもくもくとたちこめた。
下からくる。
私の胸のドキドキは最高潮に達する。
誰であっても関係ない。
これは、やばい。怖いぞ。
口から心臓が飛び出しそうになりながら1歩ずつ歩を進める。もちろん先頭はかかしさん。
「失礼してまーす!!」
かかしさんの元気のいい挨拶に、返事はすぐ返ってくる。
『何者だ!!』
おじさんの低い声の低いところのエキスだけ何十倍にも濃くして、それから少々機械っぽい音を足したみたいな声。
こんなふうに分析してはいるけれど、今、ガチでビビっている。叫びたい。怖い。もう、めっちゃ怖い。
「すいませーん!オズ様に用があってー!」
相変わらずかかしさんの怖いもの知らずで切り込んでくれる。
それを傍で聞いていると、胸に抱いていたトトがいきなりもぞもぞと動き出した。
「トト?」
そして、地面に降り立ったと思うと、どこかに向けて一直線に駆けていった。
「あ……思い出した……」
そうだ、確かオズ様って……
ペテン師だ。