第21章 〈番外編〉Over The Rainbow
「「「いきなり間違えてごめんなさいっ!」」」
「ワンっ!」
私たちは3人揃って頭を下げた。
ぴしっと揃ってまるで軍隊のよう。
お茶子ちゃん(っぽいお城の人)はそれにたじろいだように、
「え、ええよ別に…そんな謝らんでも…」
と言った。ドン引かれたらしい。顔がそれを物語っている。
そんなのお構いなしにかかしさんはグイグイ行く。さすが切り込み隊長だ。(たった今任命。)
「俺たち、オズ様に会いに来たんすよ。会わせて下さい!」
切り込み隊長につづけー!とばかりにブリキの天哉くん、私、ついでにトトも喋りだす。
「願いを叶えて欲しいんです!」
「心が欲しいんです!」
「ワンっワンワン!グルルル!」
「ちょっと待って待って!一気に喋らんで!分からんくなる!」
私たちは一斉に喋っていた。
お茶子ちゃん(っぽいお城の略)に諭されると今度はみんな(トトも)黙って、辺りがシンとする。
「……」
「……」
「……」
「もう!誰か喋って!」
こんなコントみたいなやりとりを何回か繰り返した。
なんとか事情を伝えると、お茶子ちゃん(っぽい略)は、
「うん……。事情は分かったけど…オズ様ってすっごい忙しい人やよ?会えるか分からんけど…。」
と神妙な顔で言った。
「そこをなんとか!」
「お願いします!」
「このとおりだ!」
「クウーン…」
そこでみんな揃ってまた頭を下げる。
なんていいチームワークだろうか。さっき出会ったばっかなのに。十年来の友達みたいなチームワーク。
「わ、分かった!なんとか掛け合うから!」
そのチームワークには、さすがのお茶子ちゃん(っ略)も降参だったみたい。
私たちは嬉しくなってハイタッチをした。
うぇーい、ふさっ…。うぇーい、がチンっ!
人ならざるもの達だから、ハイタッチの音はそれぞれ、人ならざる音がした。