第21章 〈番外編〉Over The Rainbow
「助けてくれて本当にありがとう!いきなり雨にうたれて錆びてしまい、動けなくなっていたんだ。1年くらい。」
「1年!!」
「そりゃ大変だったな!」
「ワンっ!」
向かい合って正座でブリキの天哉くんの話を聞く。結構大変だったらしい。
「君たちは一体なぜこんな所を歩いているんだい?」
「これからエメラルドの都のオズ様に会いに行くんだよ。」
「俺は脳みそを貰うために!」
私達はこれから何処へ行くか、そして何をするかを説明した。はつらつとした笑顔で脳みそを貰うと言い切る彼に、すこし後ろめたい気持ちになった。
「そうか……なら僕も連れて行ってはくれないか?」
「どうして?」
「僕は心が欲しいんだ。」
「心?」
そうだった。ブリキの人形は心が欲しくて…。
心が欲しいと彼は言ったけれど、心が欲しいという気持ちももう心からの思いなんじゃないかな。そう思ったけれど、黙っておいた。
「愛情や嫉妬、芸術を美しいと思う心が欲しいんだ。」
「オズ様ならくれるんじゃねぇか?一緒に行っていいだろ?」
「もちろんいいよ!きっとくれるよ。」
「ありがとう!」
私はその申し出を快諾した。
こうして私のパーティは、3人と1匹になり、益々賑やかになった。3人で結構意気投合していろんな話もした。一緒に歌歌ったりした。
鋭児郎くんと天哉くんが話しているところをあんまり見たことなかったから、2人が話しているのを見て凄く嬉しくなった。
「君はなんでエメラルドの都に行きたいんだ?」
「あ…えっとそれは…あのね」
「そういや聞いてなかったな!」
「えっと……着くまで内緒!」
「えー!」
帰るため…という言葉が何故だか口から出てこなくって、私は2人の言葉をかわした。
次は確かライオンさんだ。
と頭で考え、それは一体誰だろうと想像した。しかし全然誰も思いつかなかった。
ライオンさんは確か勇気が欲しいんだった。
そして私達一行はもっともっとくらい森の中に進んでいった。
それこそ、ライオンや虎や熊が出てきそうな森に。