第21章 〈番外編〉Over The Rainbow
オズの国というところは、なんだかとっても空が青くて高くて綺麗で、空気もすっごく美味しかった。
その綺麗な景色のお陰で私のさっきの不安はすっきり消えてなくなっていた。今は鼻歌なんて歌ってしまっている。
「気持ちいいねっトト!」
「ワン!」
トトは嬉しそうに飛び回って私の足にじゃれつく。可愛くて仕方がない。
「でも、どの道なんだろうね…。」
なんと今、結構深刻に悩んでいた。何故なら、黄色いレンガの道が3つに別れてしまっていたから。
うーむと悩んでいると横から声が聞こえた。それも、またよく知っている声。
「おーい!ちょっとわりぃんだけどそこの女の子!手貸してくんねぇ?」
「えっ?」
すごく聞き覚えのある声に驚き辺りを見回すも、有るのは畑と……。
「…え、鋭児郎くん…?」
「え?誰のこといってんの?まぁいいや!この棒引っこ抜いてくんねぇ?動けなくてさ!」
かかしが鋭児郎くんっていうキャスティングなのかと驚きを隠せなかった。3秒ほど固まった後、ぎこちなく笑顔を作り返事をした。
「お、おーけー」
「おっ助かるぜ!」
うんとこしょ、どっこいしょと棒を引っ張る。さながら大きなカブ状態だ。しかし1人の力でもその棒は抜けるようで、案外簡単にすぽっと抜けた。
「わぁっ!」
棒が抜けると同時に後ろに尻餅をついた。
「大丈夫か?本当ありがとうな!」
そう言って手を差し伸べてくれる彼は、やっぱり鋭児郎くんだった。やっぱりいつも通りすごく優しい。握った手が完全に藁だったけど…。
「ところでその……エメラルドの都に行くにはどうやって進めばいいのか…しってる?」
「んー…すまん、わかんねぇな。俺脳みそ無いから」
そっか。かかしさんは確か、脳みそが無くて……
「そのエメラルドの都って所にに脳みそくれる奴いるかな。」
「うーん…オズ様なら脳みそくれるかもしれない。」
「まじか!一緒に行っていい?」
「いいけど、かもだよ?」
「此処にじっとしてるよかいいよ!」
「じゃ、じゃあおなしゃす…。」
こうして私のパーティは2人と1匹に増えた。
私は、賑やかになった道中に胸を弾ませ、ちょっぴりスキップをした。
風が、心地よかった。