第18章 あなたは特別な人
「そういや、てめぇなんでここにいる。はやく帰れや。」
「うっ…。」
本調子になってきた勝己くんにちょっぴりキツめのことを言われた。ずっと寝起きでいて欲しいな、なんて思ったりした。
「心配だったからだよ。」
「タマゴに心配される筋合いなんぞねぇ。帰れや!」
「む……。」
あわよくば3人一緒に帰れればいいななんて思っていたけど、そんなこと出来ないみたいだ。
それにそんな言い方されてムッとした。もう落書きされたまんま帰ればいい、みんなに笑われちゃえばいいんだ。
あっそうじゃん!落書き、バレないうちに逃げなきゃ!
「じゃ、じゃあ帰ります!」
「ひよこちゃん帰っちゃうの?」
「うん。そうする。ほら、いろいろあるし……ね!」
出久くんに目配せして、勝己くんに落書きがバレる前にここから去ることにした、ということを伝えようとした。(目で。)
「あー……そうだね…。早く帰った方がいいかも。」
出久くんはなんとなく分かってくれたみたいで、呆れたような顔で答えてくれた。
「と、言うわけで、また明日!」
バイバイ、と手を振ると出久くんはは手を振ってくれたけど、勝己くんには無視された。
ほっぺたの落書きがまたちらっと見えて、私はぶふふっと廊下で吹き出した。