第17章 コンクリートを漂流
梯子を登っていく時も地響きは止まらなくて、私の心の不安はもっともっと大きくなっていった。
怖いけど、不安だけど、間違っているかもしれないけど、今はこう動くしか他にできなかった。
自分でそう思ってしまったことだから。
今は1人で、道を決めるのも独り。
独りは怖いけど。
今は、誰かに頼ることは出来ないから。
ぐっと上を向く。梯子の終わりが見えた。深く被っていたフードが外れた。
自分には、自分に出来る範囲しかできない。
どんなにその範囲が小さいとしても、不安だとしても、その範囲で出来ることをしなくちゃ。
足掻こう!
信じて、進もう!
塔の1番上に立つと、同時に埃が混じった風が顔を打った。思わず1歩退いてしまったけど、すぐに目を凝らした。
そこから遠くを見ると、大きな大きな機械が建物を破壊していた。
「あれに、校長先生が…!?」
その機械が1つ建物を壊すとドミノの様に連鎖してこちらまで影響してくる。
「あっ!み、三奈ちゃん!!電気くん!!」
その先を見ると、必死に走る2人が見えた。
上から見ると分かる。そっちは行き止まりで…そっちに校長先生の魔の手が伸びていると。
「そっちはダメ!!!」
でも声は届かなくて、2人はそこに突っ込んでいく。
もどかしかった。
自分では何も出来ないなんて。
悔しかった。
ここにいるのに見ていることしか、出来ないなんて。
人の心配をしている暇なんてないのに、苦しかった。
私は塔の上で1人、左手をぎゅうっと握りしめた。